研究の名称
本邦の炎症性腸疾患(IBD)患者の多施設共同前向き長期観察研究
FeAtuRes in JapanEse pAtientS with inflammaTory bowel diseases:
A multicenter prospective long observational study (Far East 1000)
- ロゴマークの由来:
- このロゴマークは、試験名にも含まれている登録予定症例数の「1000」をモチーフとしています。また、今まで炎症性腸疾患の前向き観察研究が報告されていない本邦、その中でも東に位置する千葉県での研究となることから、日の出のイメージを取り入れることで、研究のさらなる展開への期待も想起させるものとしています。
現在の症例登録状況
準備中
現在の研究参加施設(2020年3月現在)
- 千葉大学大学院医学研究院
- 医療法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター
- 医療法人社団誠馨会 千葉メディカルセンター
- 国保直営総合病院 君津中央病院
- 社会福祉法人 恩賜財団済生会 千葉県済生会習志野病院
- 千葉市立 青葉病院
- 千葉市立 海浜病院
- 地方独立行政法人 総合病院 国保旭中央病院
- 地方独立行政法人 東金九十九里地域医療センター
- 独立行政法人 国立病院機構 千葉医療センター
- 独立行政法人 地域医療機能推進機構 船橋中央病院
- 独立行政法人 労働者健康安全機構 千葉ろうさい病院
- 日本赤十字社 成田赤十字病院
- 東千葉メディカルセンター
- 船橋市立医療センター
- 松戸市立総合医療センター
研究の概要
1.目的
炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Diseases)症例を対象とした病勢、治療実態、および合併症の実態を長期間に調査することを目的とする。IBDの合併症については特に原発性硬化性胆管炎(PSC:Primary Sclerosing Cholangitis)の合併に着目して、合併率、PSCのMR胆管造影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)でのサーベイランスの有用性を検証する。
- 観察項目:
-
- 治療(治療変遷)
- 増悪の頻度(入院回数)
- 生年別患者数および発症年齢
- 合併症の頻度
- PSCの合併率
- MRCPでのサーベイランスの有用性
- PSC診断基準の妥当性の評価
- MRCPにおける膵管狭窄像の有無および自己免疫性膵炎の合併率
2.全体の流れ
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3.研究デザイン
多施設共同、前向きコホート研究
4.対象
以下のすべての条件に該当する患者を対象とする。
-
試験登録前、または期間中に診断基準(下表)に基づきIBDと診断された患者
- 潰瘍性大腸炎
-
A) 臨床症状あるいはその既往
B) ①内視鏡所見
②注腸X線検査所見C) 生検組織学的検査所見
A)B)のうち1項目、およびC)を満たし、下記の疾患が除外できれば確診となる。 除外すべき疾患:感染性腸炎、クローン病、放射線大腸炎、薬剤性大腸炎、リンパ濾胞増殖症、虚血性大腸炎、腸管型ベーチェット病
- クローン病
-
(1)主要所見
〈A〉縦走潰瘍
〈B〉敷石像
〈C〉非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
(2)副所見
〈a〉消化管の広範囲に認める不整形〜類円形潰瘍またはアフタ
〈b〉肛門病変
〈c〉胃・十二指腸病変
確診例
〈1〉主要所見〈A〉または〈B〉を有するもの
〈2〉主要所見〈C〉と副所見〈a〉または〈b〉を有するもの
〈3〉副所見〈a〉〈b〉〈c〉すべてを有するもの
- 潰瘍性大腸炎
クローン病と潰瘍性大腸炎の両疾患の臨床的、病理学的特徴を合わせ持つ、鑑別困難例
- 年齢基準は設けない
- 本試験の参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
また、以下のいずれかの条件に該当する者は対象としない。
- 試験責任医師又は、試験分担医師が本試験を安全に実施するのに不適当と判断した患者
なお、下記に示す項目に該当する被験者は、MRCPは禁忌であるため施行しない。
- ペースメーカーまたは除細動器を含めた体内金属が挿入されている患者
- 妊娠中、妊娠の可能性がある、産後28日以内、授乳中のいずれかに該当する患者
- 閉所恐怖症などによりMRI施行困難な患者
5.方法
採血やMRCPなどの検査は通常診療の範囲内で行われるものとする。
MRCPについては、登録施設および中央判定にて読影を行う。いずれかの読影において胆管狭窄像等PSCを疑われた場合は下記の項目の確認を行いPSCの診断を行う。すでに登録時点ですでにPSCと診断されている症例においても、同様に評価を行う(既診断例においては一部登録日以前の検査結果を用いることを許容する)。
【MRCPにてPSCが疑われる症例に対する評価項目】
- MRCPの胆管像
- 内視鏡的胆管膵管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)の胆管像(診断上必要な場合)
- 肝生検所見(診断上必要な場合)
- 過去1年以内の胆道系酵素
- 2次性硬化性胆管炎や胆管癌を示唆する所見を認めない
- PSCの合併率
- MRCPでのサーベイランスの有用性
- PSC診断基準の妥当性の評価
- MRCPにおける膵管狭窄像の有無および自己免疫性膵炎の合併率
【PSCの診断基準】
IgG4関連硬化性胆管炎、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎、胆管癌などの悪性腫瘍を除外することが必要である。下記による確診・準確診のみを原発性硬化性胆管炎として取り扱う。
- 診断項目
- 大項目
- 胆管像
- 原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認める。
- 原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認めない。
- アルカリフォスファターゼ値の上昇
- 胆管像
- 小項目
- 炎症性腸疾患の合併
- 肝組織像(線維性胆管炎/onion skin lesion)
- 大項目
- 診断
大項目 小項目 診断 A.1) +B 確診 A.1) +a 確診 A.1) +b 確診 A.1) 準確診 大項目 小項目 診断 A.2) +B+a+b 確診 A.2) +B+a 準確診 A.2) +B+b 準確診 A.2) +a+b 準確診 A.2) +a 疑診 A.2) +b 疑診
【PSC診断のフローチャート】
日本の診断基準をもとに作成

【フォローアップ時評価項目】
- IBD病勢および治療歴:
腸炎の病変範囲および臨床スコア、IBD治療歴、合併症(PSC診断有無を含む)、入院歴 - 自他覚症状の確認:問診等により確認する。
- 試験登録時点の臨床データ:
AST、ALT、ALP(ALPについては登録前1年間のデータもあわせて収集)、GGT、総ビリルビン、直接ビリルビン、Cre、Alb、血算(WBC、RBC、Hb、Hct、PLT)、PT-INR、CRP、CEA、CA19-9、IgG - 握力検査:握力
- 骨塩定量:骨塩量、YAM%
- 最終観察日(または死亡日)
- 死因
フォローアップ時の評価は、原則として2年ごとに行うことする。転居・転医等で登録機関へ通院されていない場合は、上記の下線の項目のみを評価する評価表を登録施設より送付し、返信いただく。
6.予定登録数と研究期間
IBD症例:1,000例以上
*: 1,000例を超えた場合でも登録期間満了まで登録を継続する。
症例登録期間:倫理審査委員会承認後~2023年3月31日
研究期間:倫理審査委員会承認後~2023年3月31日
7.研究代表者
加藤直也
千葉大学大学院医学研究院 消化器内科学(消化器内科)
企業からの支援および利害関係
本研究における資金は、千葉大学大学院医学研究院・消化器内科学の運営交付金および企業から得た研究費で行う。本研究に研究費を供出した企業(研究運営支援企業)とは、匿名化された本研究の固定データを共有する。共有したデータは、各企業内でのみ使用することを許諾し、企業から外部へ公表されることはない。本研究は研究運営委員会により研究者主導の臨床研究として公正に行われる。本研究の利害関係については、研究参加施設の倫理委員会の承認を得た上で適切に利益相反のマネージメントを行い、利害関係の公正性を保つ。
なお、本研究は、長期間実施する前向きコホート研究であり、研究費を供出する企業が追加される可能性がある。研究運営支援企業の追加の際には、患者保護の観点からも随時ホームページ上で公表し、オプトアウトの機会を設けるものとする。研究運営支援企業の追加に伴う、都度の倫理審査委員会への申請は行わない。また、研究運営支援企業へのデータ供与の範囲は、研究運営委員会にて決定する。
研究運営支援企業の一覧
準備中
問い合わせ先
消化器内科学(消化器内科)
加藤順 / 小笠原定久 / 太田佑樹
E-mail: contact*far-east-1000.jp (*を@に変更してください)